
「人にも土にも虫にも優しいお茶」——豊緑園・森本さんが届ける、自然と暮らしに寄り添う一杯
宮崎県新富町で1937年に創業した茶農家「豊緑園」。現在は3代目・森本さんが中心となり、有機JAS認証を受けた無農薬・無化学肥料のオーガニック茶づくりに取り組んでいます。
ただ“安心”なだけではなく、畑ごとの個性を生かした「茶畑めぐり」シリーズや、体験型のサロン運営など、自然と人の関係性に寄り添うお茶のあり方を模索しています。
|
土と虫と共に生きる。除草も駆除も、すべて手作業
豊緑園のお茶づくりは、自然との共生が前提です。農薬や化学肥料は一切使わず、除草も害虫の駆除もできる限り手作業で行います。草がよく伸びる春から夏にかけては、毎朝夜明けとともに作業を開始する日々。「大変だけど、それでもやる意味があるんです」と森本さんは静かに語ります。
畑ごとに違う味を楽しむ「茶畑めぐり」
豊緑園には7つの茶園があり、それぞれで異なる品種を育てています。森本さんはこの畑ごとの味わいの違いや背景にあるストーリーを「茶畑めぐり」というブランドで発信中。ただのお茶ではなく、“土地の表情”を味わってもらうことを目指しています。
飲むだけでなく、“整う時間”を届けたい
森本さんが目指すのは、安心・安全という枠を超えた“心の豊かさ”を届けるお茶。「お茶って、ただ飲むだけじゃなくて、心が整う時間をくれる存在だと思うんです」と話します。その言葉を体現するように、茶畑での体験イベントや、ティーペアリングを楽しめる「サロンドテもりもっ茶」などの活動も展開しています。
ホタルが飛び、ヤマドリが訪れる茶畑から
豊緑園の茶畑には、夏になるとホタルが飛び交い、ヤマドリの姿も見られるといいます。そんな自然の恵みのなかで育てられたお茶には、森本さんの人柄と、生き物たちとの共生の物語が染み込んでいます。
手間を惜しまず、自然と丁寧に向き合う森本さんのお茶づくり。その一杯には、心を整え、暮らしをやさしく包み込む力があります。「人にも土にも虫にも優しい」——そんな言葉がそのまま体現された豊緑園のお茶を、ぜひ味わってみてください。