
「最後まで美味しくしたかったんです」——COZY farm・長友さんが育む、“せとか”と真っ直ぐな農業のかたち
宮崎市清武町の山あいにある「COZY farm」は、“柑橘の女王”とも呼ばれる「せとか」を育てる農家。三代目の長友さんは、かつて全国を飛び回る営業マンでしたが、家業を継ぎ、畑仕事の日々へ。
手間も時間もかかる“せとか”に真正面から向き合い、その魅力をもっと広く届けたいと、加工品開発にも挑戦しています。農業を「趣味みたいなもの」と語る長友さんの、肩の力が抜けた中にある真剣な姿勢が印象的です。
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営業マンから農家へ。三代目のUターン物語
現在COZY farmを継ぐ長友さんは、もともと営業職として全国を飛び回る日々を送っていました。転機は、家業をどうするかという問いに向き合ったとき。「やってみようかな」という素直な気持ちから農家へ転身。今では60年以上続く畑を受け継ぎ、“せとか”の栽培に情熱を注いでいます。
わがままで繊細。だからこそ面白い“せとか”という果実
せとかは、驚くほどジューシーで香り高く、まろやかな甘さが特徴の高級柑橘。けれど育てるのは一筋縄ではいきません。実をつけすぎると翌年まったく実らないこともあるという“気まぐれな果実”。「剪定してるときが一番好きなんですよ。木と会話してる気がして」と話す長友さんは、季節や一本一本の木に寄り添いながら、せとかと向き合い続けています。
手塩にかけた果実を、もっと身近に。加工品への挑戦
そんなせとかの魅力をもっと広く届けたいと考え、長友さんは加工品づくりに着手。「せとかシロップ」などの商品は、炭酸で割ればジュースに、ワインに加えれば即席サングリアにと、さまざまな楽しみ方ができます。「果実だけじゃなく、最後まで美味しくして届けたい」——その想いが商品開発の原動力です。
「農業は趣味みたいなもの」——だから楽しく、真剣に
長友さんは農業のことを毎日やっても飽きない「趣味みたいなもの」と軽やかに笑います。でも、その言葉の裏には、自分の手で育て、自分の言葉で届けるという、誠実な仕事ぶりがあります。畑での表情も、瓶詰めに向き合う背中も、どこまでも真っ直ぐです。
せとかという繊細な果実に寄り添い、加工品という新たなかたちでその魅力を伝えるCOZY farmの取り組み。そこには、“美味しい”を届けることに対する一貫したまなざしと、自分らしく働くことへの誇りがありました。今日の食卓に、一本のシロップから始まる豊かさをどうぞ。